2011年07月11日

勝ち鬨をあげる都市

大学町も悪くはないけど、やっぱり都会が大好き!そんな自分にぴったりの本がある。



集住の経済学を牽引するハーバード大教授の著者は生粋の都会っ子でもあり、本書で都市の素晴らしさについて述べていく。都市の強みを考察する上で、歴史を眺めて成功の要因を探っている。

たとえばNYは運輸に便利だったから発展し、その後アイデアの宝庫となり金融街も隆盛していまの姿となった。都市はたくさんの小さな会社と優秀な市民が居るとき繁栄する。それは職住近接の地、物理的な近さがものをいうからだ。遠隔通信技術が発展すればするほど対面での応対が重要になってきている。

行政が助けるべくは「市民」であって「都市」じゃない。衰退する街が示すのはそこが経済力に比して養う家とインフラが多すぎることで、ハコモノを作ったところで根本的な解決にはならない。また工業地帯が没落した事実をもって、都会の欠点を示すことにはならない;ピッツバーグやデトロイトが失敗したのは、特化した技能を持つ人を生み出したり外の世界と繋がったりということをしなかったからだ。工場を建てて技術の低い人を雇えば済むようにしたことが、長期的には仇となった。偏狭な人種主義に染まった黒人政治家が害を為したことも一環。

都市は住民を貧しくしない;貧しい人を引きつける。都市の貧者は富裕層ではなく貧農と比べられるべきで、ずっと良い暮らしをしている。
都市は途上国でより重要、なぜなら貧者に市場への道を開くから。リオやNYで公共交通機関が発展すると、より貧者を引き寄せる。都市にはは多様な職があるから、恐慌にでもならない限り安定しているのだ。都市がうまくいっているかどうかはそこに貧困がどれだけあるかではなくて、成功をどれだけ生み出したかで見るべき。レイラ・ヴェレス、ケネディ家、リチャード・ライトなどの成功譚が載っている。

犯罪や疫病や混雑など、集住のデメリットはある。でもその解決策を思いつくジョン・スノーやウィリアム・ヴィックリーが出てくるのは、都市なのだ。住みよい都市にするために政府の役割が強調される。

演劇や食事、ファッションといった顕示的消費が発展するのも都市。パートナーを求める独身者はもとより、共働きで双方の職が欲しいというカップルも引きつける。居住には、賃金・物価・生活の質という三つのトレードオフがある;高賃金には高物価、高額の家賃には高賃金へのアクセス。

景観を守るのは大事だけど、新たな建造物を建てさせないというのは間違っている。需要と供給の論理を理解しなかったジェイン・ジェイコブスのように、高層建築に対する嫌悪感はどこにでも見られる。NYやパリやムンバイでの高さに関しての規制はその都市の地価を高騰させ、貧しい人には手に入らないような土地になってしまう。不透明で長期にわたる法的許可の過程を単純化し、史的遺物保存はよく定義した上で限定しながらおこない、各地域がその特色を守るために行使する行政権は正確に明示するといったことを通じて統一の取れた都市発展をしようと提言する。

税制優遇で不動産のモートゲージは買いやすく、高速道路は無料でガソリン税も低く、また学校の質も良いーーこれらの理由から郊外に住む人は多い。でもそういう発展が続いたら排気ガスだらけになってしまう。コンクリートのジャングルに住む方が、森林に囲まれた生活を送るより、ずっと「環境に優しい」のだ。したがって都市の発展を妨げようとする環境保護団体は、むしろ環境を悪化させているといえる。

東京が大絶賛されていた。成功した都市の裏に教育の重要性を見ているようだ。

著者の歴史認識にはたまにおかしなところもみられ統計の使い方もしばしば雑だけど、興味深い分析ではあった。ただ実践的なことは書いていないので、たとえばディベロッパーや建築士が都市計画を期待して読んだらダメだろうなー。
posted by Char-Freadman at 12:10| 北京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ぶっくれびゅー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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