2012年03月01日

AIDSの起源

AIDSの起源を辿ってみた。

"The Origins of AIDS", by Jacques Pepin



1章は基本知識。DNAは代を重ねれば重ねるほど多様になる。最も細菌が多様なアフリカに起源がありそうだ。
2章はチンパンジーについて。種によって広がる細菌の型が違う。
3章は発生期について。1930年代のコンゴでの鉄道建設にあたった労働者の中に、AIDSとおぼしき症状の患者が多数いるようだ。分子時計を利用し、1921年頃に発生したのではないかと推測している。
4章はチンパンジーからヒトへの感染経路について。ポリオワクチンにチンパンジーの血液が混ぜられたためだとか、チンパンジーの血液をヒトに注射していた実験のせいだとか、臓器移植の実験のせいだとかいった仮説は棄却されている。ハンターもしくは料理人から感染したのではないかと推測され、感染確率の概算がある。
5章は中央アフリカの歴史について。植民地時代には労働力の必要から、男に偏った人口比になってしまった。これがキンシャサでの売春の温床になった。
6章は多様な売春の形態がいかに需要を埋め、HIV-1の拡大に繋がったかをみていく。「自由婦人(Free woman)」と呼ばれる人ーー家事やおしゃべりや性労働ーーから、学費のための性労働、あるいは売春宿での労働者と、売春は多様。
7章はHIVやHBVやHCVがいかに拡大したかをみていく。注射針と注射器の殺菌処理は不完全だった。
8章は仏領赤道アフリカとカメルーンについて。眠り病との戦いで、移動治療という有効な方法が生み出された。
9章はベルギー領コンゴについて。最初の感染者がここにいたとは考えにくいものの、レオボルドヴィルはウイルスの広まるもととなった。HIV-1がもっとも多様なのも、最も古いものが見つかったのもここ。
10章はその他の免疫不全を引き起こすウイルスについて。
11章はアフリカからアメリカ大陸への感染拡大について。ハイチの労働者が感染し、拡大したとみている。
12章は売血について。血漿の売買により拡大してしまった。
13章はグローバル化について。
14章ではあり得る感染のシナリオについて、確率を概算している。P.t.troglodytesは昔から住んでいたため、ハンターが感染するということもあったかもしれない。でも感染が広まるようになったのは、一人で何人もの客を相手にするような職ができてから。
15章はまとめ。ヨーロッパの植民により、売春が利益を生むようになったこと。注射針や注射器が汚いまま再利用されていたこと。これらの二つによってエイズの拡大がもたらされてしまった。たとえ良い意図を持っていたとしても、最悪の結果に繋がることがあるということを、肝に銘じねばならない。

アフリカに興味のある人にオススメ!

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・アフリカの歴史は淡々と事実を応だけで気分が沈んでくる。。。
・血清治療も医原病の温床になっちゃうとは。使える有効な治療法が限られてしまう難しさ。なんとかならんのかなー。
posted by Char-Freadman at 02:38| 北京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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