2012年04月04日

ナサーの経済学史

ソローがタコ殴りにしてたナサーの"Grand Pursuit"、アッシェンフェルターは好意的に評しているみたいだ。

Journal of Economic Literature 2012, 50:1, 96-102

【この本がやったこと】
・1850~1950年の経済史と、当時の経済政策の文脈に沿って経済学者を配置している。
・経済学者だって血の通ったニンゲンなんだよ!
【やらなかったこと】
・ハイルブロナーの経済思想史を書き換えること。あくまでお話の登場人物。辞書代わりにはなりません。
・主張をはっきり書くこと。冗長。

ホーチミン、ジェイコブ・ヴァイナー、ロバート・ソロー、ニコラス・カルドア、フランク・ラムゼイといった人たちが主役をはる。お話はマルクスから始まり、ロンドンの黒歴史が描かれている。経済学者がいかに安楽椅子実証ーー実際に工場でデータを取ったりはしないーーに頼ってばかりであるかがわかるとのこと。そして、publish or perishは概ねアメリカの文化で、19世紀末の経済学研究はノンビリやられていたことが示されているそう。
歴史モノとして、当時の描写のなかで、KGBのスパイ・ソビエト共産党政治局員・中共工作員がしばしば出てくるのが優れている;イギリス経済は苦しんでおり、ソビエトに希望をみてしまう人もいたのだ。ケインズがお話の最重要人物であり、一次大戦・恐慌・二次大戦の処方箋を出そうと奔走した姿が描かれている。
ハイルブロナーの経済思想史のメインテーマは、資源の分配がいかになされるかの理解だった。一方この本のテーマは、「経済学者が生活水準を改善できる」という考え方かもしれない。AEAの創立者の多くが属したドイツ制度学派は、イギリスの経済学と異なるため、たとえばヴェブレンは本書で社会学者として扱われてしまっている。いっぽうフィッシャーはイギリスの分析的経済学に基礎を与えた人物として、本書の多くで出てきている。

読み物として面白く、教養としてもまあ及第点(でも多くの経済学者はイラつくだろうとのことw)、あと経済学がダイナミックな営みだと感じさせてくれるそうだ。地味にマクロ経済学の混乱がdisられている。

様子見してたけど、気になったので購読してみることにした。ゴシップ集としてはとっっっっっても楽しめそうだ。ケインズはどう見てもリア充。

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・評者はアッシェンフェルター・ディップなど労働経済学でよく知られた超重鎮。ただのワイン好き(cf. エアーズの本でも触れられた、ワインの方程式のこと)ではありません。

ワインの質=12.145+0.00117×冬の降雨+0.0614×育成期平均気温−0.00386×収穫期降雨

実証研究者だけあって経済学に対する不満は実証にあるみたいだねえ。

・ノンビリ研究、、、羨ましい、、、うぇー、、、;;

・ソローによる書評はこちら;

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20111005/1317821182

マクロ経済学者は口が辛いなあ。睨まれないようにしとこう。くわばら、くわばら。
…ところで他の記事ではなんと当ブログを紹介してくだっている模様。ありがとうございます!
posted by Char-Freadman at 22:02| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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