2012年04月08日

イスラムの欠陥

中東の近現代史に興味が湧いたので読んでみた。

"The Long Divergence: How Islamic Law Held Back the Middle East", by Timur Kuran



西洋と比較して、なぜうまくいかなくなってしまったのだろう?1000年頃までは概ね反映していたけど、19~20世紀になると西洋に遥先を行かれてしまった。この地位の転落が生じた理由を説明するのが本書の目的。
答えは、イスラムの制度だ。ビジネスに制限がかけられたのみならず、西洋に追いつくような法の進化がなされなかった。オスマン帝国が失敗したのは真のイスラムの理想の追求から離脱したためという仮説が棄却され、イスラムの制度自体に欠陥があったとみている。
18世紀までは、特に欠陥はなかった。カピチュレーションにより外国人は安全に商売ができたし、ワクフ(寄付)により様々なサービスが提供され、法は速やかに執行されたため特に変革する必要はなかったのだ。
しかしイスラム法の組合関係には欠陥があった;一方的に解除することが出来たし、相手が死んだら自動的に契約は終了し遺産が後継者たちに分割されてしまった。このため、多くが参加し長く続く法人が作れなくなってしまった。交換は個人的なものに留まり、会計制度は標準化されず、文書ではなく口頭で契約がなされるのが一般的なものとなった。確かにワクフは多様なサービスを提供したものの、寄付者の意思に左右された。株式会社のように運営して多くの資金を集うことができなかった。遺産はばらばらに分割されてしまった。また銀行システムや会社に関する法も存在しなかった。
19世紀以降の非ムスリムについても論じられている;非ムスリム同士の法廷が開かれ、イスラム法の制限から避けることが出来た。

中東の説明とは銘打っているものの、17~18世紀のオスマン帝国の特徴に焦点が当てられ、(時には不適切に)一般化されている。これは「途中まではうまくいっていたがうまくいかなくなった」ことを説明するため。
歴史モノなわりには大変読みやすく、中東に興味が湧いた人は是非。

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(感想)
・地理要因を無視するのはまずいような気もする。無視するなら無視するなりの理由を載せておくとよさそう。砂漠地帯・山岳地帯・石油資源など結構特異な地域だし。

・政治制度が経済にもたらす影響の分析があんまりないのが不満!w
(ご参考)
http://charkid.seesaa.net/article/260054188.html

・西洋以外と西洋との比較をするというお話はよく見かける。たとえばこんなんとか;



カリフォルニアの人は妙に親アジアなんだよな〜。
posted by Char-Freadman at 02:15| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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