2012年04月10日

少数派による説得

少数派になってしまったとき、どう説得したものだろうか?社会心理学を使い、より影響力がある相手をいかに説得するかが考察される。

"The Rules of Influence: Winning When You're in the Minority", by William Crano




影響力に関する伝統的な研究は、説得を試みる人が利用できるものが多いとの暗黙の前提があり、少なくとも言うことを聞かせられるだけはできた。信頼性を高め、強い議論をし、反抗することが難しいような状況を作ればよかった。権力にあずかれ、正しいと思われがちであり、数で上回れるというメリットが多数派に属することにはある。ニュルンベルク裁判では戦勝国の正義のもとに裁かれた。本書では少数派に属するため説得に要する資源に恵まれない人がどう対抗すべきかに焦点が置かれる。

1. グループ内にいて、多数派の正当なる一部分だと考慮されるべし。
グループ内の少数派であるか、グループ外の少数派であるかは重要な分岐。類似性を強調すること。人々が自己に関して持つ印象は大きな影響をもつ;我々と彼らを分け、我々には親切になり、彼らにはよそよそしくなる。また印象は自己充足的でもあるのだ。所属するグループが選んだ結果のものであろうとそうでなかろうと、影響を持つ分にかわりはない。

2. 粘り強くあれ。撤退や妥協をするな。
多数の人が一貫して間違った回答をすると、それに引きずられてしまうという研究がある。でも、一人だけでもその多数派に裏切り者がいれば、また正しく回答が出来るようになるという。
少人数の回答もまた、影響を持つという。とはいえ、環境にそって柔軟な対応をできるなら、一貫性を保てる。

3. 一貫性をもて。メッセージを伝え続けろ。

4. 少人数グループ内では満場一致であれ。

5. 柔軟性をもて。環境にそったメッセージを伝えろ。
交渉では、最初にふっかけて、そのあとで小さい利益を頼むと、承諾を引出しやすい。また無視無欲に見えるとなおよい。

6. 主観的な判断を客観的なものにしろ。たとえ部外者でも客観的な証拠があれば説得できるかもしれない。

ゼンメルワイスの手洗いは死亡率を下げるのに有効だったが彼の医師人生は失敗したし、2008年のカリフォルニアでのゲイの結婚禁止法は通過してしまった。これは説得の方法を誤ったためと見ている。あくまで大きな社会の一部であることを協調しないと失敗してしまうのだ。

多数派も対策してくる。
a. 少数派は部外者であるとみなす
b. その参加が組織の脅威になると喧伝する
c. 少数派は自己利益を追求しているとみなす
d. 分析し対抗する。無視したり見下したり罵倒したりするのだ。関係ない非難を大量に送って信頼性を損ねたり、繰り返し嘘をついたり、当てこすったりしてくる。非難するときは新聞の知名度がモノを言うけど、当てこすりなら新聞の知名度によらず同じくらい有効。

7. 直接的ではなく間接的に攻めろ。
中絶に関して賛成する記事を読むと、中絶についての意見は変えないものの非人に関しての意見は変わるそう。関連する内容から攻めるべし。

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(感想)
・本書ではハッキリと否定してるけど、少数派が広がるのは良いことと誤読する人もいそう; ナチの広まりを思い起こすとよい。(IEがネットスケープを駆逐したのをMicrosoft内の若きプログラマの昇進の成功譚として位置づけてるけど消費者的には、、、w)
・ゼロサムゲームの理解がおかしい。車を売りつけるディーラーと買い手がいたら、それはゼロサムゲーム。売り手の得は買い手の損になっている。
・主観を客観にするテクニック、経済学なら費用便益分析があるかな。死刑制度や中絶の是非とかは義務論を語るより実証に任せるほうが有効な制度ができると思うんだけどナァ。
・政治の文脈が多く出てくるけど、本書で強調されるようなレトリックが本当に有効だったかは疑問が…w
posted by Char-Freadman at 08:08| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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