2012年05月20日

法と地理とアメリカ政治

政治制度が重要と多くの経済学者が指摘するようになってきた。では、政治制度の形成に重要な要因となるのは何だろうかーー地理と法制度がそれらに当たると指摘する本がこちら。

"The Evolution of a nation: How Geography and law shaped the American States", by Daniel Berkowitz and Karen B. Clay



2章は大陸法とコモンローの比較。司法が議会に従うのが大陸法、両者に同じ権力があるのがコモンローという通説はアメリカでも成立する。大陸法の州の住民は強い議会と弱い司法を望んだ。アメリカの各州を分類し、13の州は大陸法、35の州はコモンローだとしている。各州が獲得された際、大陸法の州では大陸法に馴染んだ多くの住民がおり、土地を持っていて、フランスやヒスパニックの系列からの政治家もいた。確かに多くの州では大陸法は抹消されていったものの、議会と司法の権力の緊張を通じて影響は続いていったとみている。
3章は各州の初期条件と政治競争について。ラニー指数(100 - {(上院での民主党の割合) + (下院での民主党の割合) - 100})や投票指数などの複数の指標が、政治競争の度合いは長年変わらなかったことを示している。これらの指数は、降雨量があるほど低く、河や海に遠いほど低いことが示されている。それは農業に適している土地には農家が、取引に適している土地ならば商人が住み、政治的な競争が生じたため。初期条件が政治競争の度合いに強い影響をもっているのだ。
4章はそのメカニズムについて。州の居住者の職業が同じであればあるほど政治的な競争の度合いは低く、逆もまた然り。職業の同質性の政治競争への因果関係をみるには、河川からの距離を操作変数として使えばよい; 鉄道が発達した後は河川の役割は薄れたため。そしてその政治的・経済的な力は党の加盟に長い影響を及ぼした。奴隷制も確かに要因ではあるものの、職業の同一性も競争の要因。
5章は法廷について。政治家の間で競争が弱いと、議会の与党は判事間の選挙を好む; 判事は選挙で勝つために政治家に迎合せねばならないから。いっぽう政治家の間で競争が強いと、議会の与党は判事を任命することを好む; もし党が代わっても、既存の与党に沿うような形で裁判を行うため。大陸法の州はコモンローの州に比べ、この変化の生じる水準が高いことがデータによって示されていく。
6章は議会と法廷との関係について。大陸法の州はコモンローの州に比べて選挙を用いがちで、裁判所の独立性は弱く、政治競争が強いときに独立性と予算とを伸ばす傾向にある。大陸法の州ほど上訴審は地域密着型になり、裁判所への支出は低い。裁判所の独立性が強いほど予算がある。
7章はまとめ。独立性を高めるために選挙をやめたり、よりよい分析ができるよう時系列のデータを整えたりしようう。

制度発展に興味のある人はどうぞ!

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(感想)
・法制史関連の文献を読むとき、日本のそれとはかなり違うので疲れるなぁ。

・内容はともかくグラフだの表だのが見づらいレイアウト。もっとガンバレ電子書籍、、、

・議会と法廷の関係が気になってきたのでこんな本でも読んでみるかなー;



posted by Char-Freadman at 06:24| 北京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ぶっくれびゅー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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