2012年05月30日

移民と送金

移民の送金についてまとめたペーパーがこちら。

"Migrant Remittances", by Dean Yang
Journal of Economic Perspecitves, vol 25, Number3, Summer 2011, pp129-152

☆送金額は巨大
2009には$3250億, 2010には$3070億
☆FDIより安定的
金融危機でFDI(海外直接投資)は39.7%減ったが、送金は5.2%しか減らなかった。
☆色んな組織が立ち上げられてきた
エルサルバドル、インド、フィリピンでは政府の省がある。
☆総額とGDP比のランキング
(総額)インド($550億)、中国($510億)、メキシコ($226億)、フィリピン($213億)、フランス($159億)、ドイツ($116億)、バングラデシュ($111億)
(GDP比)タジキスタン(35%)、トンガ(28%)、モルドバ(25%)、ネパール(23%)、レバノン(22%)、サモア(22%)
☆動機
利他心や将来への投資などの理屈が考え出されたが、実証するのは難しい。移民の存在と家計収入の関係をみても、たとえば起業家精神に富む家計ほど移民になりやすいのかもしれない。あるいはダメージを受けた家計が収入への悪影響を減らすために移民を送るのかもしれない。移民の影響を測るにはランダムな事象が必要。
フィリピンの多くの家族は1997年のアジア通貨危機以前に移民を送り込んでいた。この危機は予期されなかったものであり、ペソに対し通貨高になった地域の移民の家計は、通貨安になった地域の移民の家計に比べ、貧困から抜け出しやすくなったことが示されている。自営業ではなく資本集約的な職に就くこともみられた。一方消費への影響は見られなかった。
また保険の作用も果たす。降雨の多寡というランダム性を導入し、収入が減った場合は送金が増え、収入が増えた場合は送金が減るという安定化がみられた。
☆願いの不一致
移民は家計に21.2%を貯蓄して欲しいと思っているが、実際には2.6%しか貯蓄しない。より送金のコントロールができるようになっているほど銀行口座を開設しやすくなっている。
☆頻度
一回送金するには固定費がかかるにもかかわらず、小額の送金をしばしば行うというパターンが見られる。「母国の家計が盗難に遭うことを見越しているため」「自制心の無さへの対応」といった理屈が考えられている。少し送金のコストが減るだけで送金の額はかなり伸びる。こういった現象を説明づける理論が求められている。

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・対立する仮説を排除するような実験計画組むの難しそうだなあ。。。>自制心VS治安
posted by Char-Freadman at 10:23| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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