2012年10月27日

金融危機

大恐慌の後、世界は70年以上にわたり平穏な時期を経験した。金融危機が過去のものと考えられるようになったそのとき、リーマン危機が生じた。ではなぜ多くの経済学者がそう考えてしまったのだろう?本書は金融危機の歴史を辿りながらその謎に回答を試みる。

"Misunderstandi Financial Crises", by Gary B. Gorton



銀行は短期の債務を抱えるが、その担保は無リスクとはいかない。もともとアメリカの銀行は自由に紙幣を発行していた。担保として州債が裏付けられていたが、州政府はしばしばデフォルトしたため無リスクなものではなかった。割引されたり取引に使用できなかったりと不便であったが、南北戦争時の国立銀行法の施行により国債が担保として使われるようになりこの状況は改善した。預金保険の出現は、預金者保護というより取り付け騒ぎが生じるリスクを減らすことを目的としていたのだ。取り付けは景気循環のピークに生じ、損失は小さいというのがその時期の特徴。これらの金融技術により安定した時代がもたらされた。

どの危機にも共通するような要因が調べられる;急激な資金需要や、それ以前の期間における信用拡大など。また多くの場合不動産価格が伸びている。短期債券の所有者が引き上げたり再契約に不同意になる、または政府の介入がないと(予測)された場合にそうなったであろう状態をもって金融危機と定義する。

$10の小切手があったとする。もし無リスクの資産により裏付けられていれば、額面どおりの取引がなされる。でも本当はリスキーで$7の価値が無いと片方が知っていれば取引は疑心暗鬼からされなくなるし、両方が知っていれば$7の取引しかなされなくなる;秘密は無いほうがいいし、情報があるとかえって取引量が減ることもあるのだ。経済にショックが生じると、リスクに関する秘密も生まれる。取引を円滑にするために発達した手形交換所は、メンバーたる銀行間に債券を発行することで秘密を生まないようにした。情報を得ようと考える人が居なくなるようにするのが危機を防ぐのに効果的なのだ。

資本準備に焦点が当てられることも多いけど、金融技術の進展により銀行経営に必要な資本の量はずっと減り続けてきた。危機を防ぐカギは資本ではない。

後半では政策提言もなされている。銀行家を救うことになるため政治的には達成しにくいから、独立した中央銀行主導でもって危機の回避に当たることが望ましい。また、Asset Backed Securitiesの売買のみを行う機関を作ったり、レポに関する新しい規制をなすとよい。

金融危機に興味のある人はどうぞ。

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(感想)
・門外漢なので、「経済学者は金融危機を理解していない」とか言われてもいまいち何を指してるのかピンと来ない。。。警鐘ならしてた人たくさんいたしバブルのメカニズムやらグローバルゲームやらでモデル組んでるペーパー多いと思うんだけどうーん。もっと勉強しよ。
・本文の多くで当事者の発言の引用やら既存の経済学の批判があって、読んでて非常にダルかった。理論モデルとその示唆だけ載せてくれれば十分なのだが・・・。
posted by Char-Freadman at 06:08| 北京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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