2022年03月11日

自己変革の行動科学

自己変革は難しい。忘れること、後回し、怠惰などに取り組んでも何度も失敗することだろう。でもそれは正しい戦略を見つけていないからだ。解決のためにはどんな力が働いているのか理解する必要がある。全てを解決する一つの方策というものはない。行動科学の力を借り問題に沿った策を採ろうというのが本書の主張だ。変化したい人にオススメ。何度も読み返してほしいとのこと。

How to Change, Katy Milkman

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変化を始めるのに理想的なのは何かで再出発したときだ。失敗は過去のもの、楽観的になれる。また悪癖から逃れる可能性もある。新年や誕生日や週初めなどなんでもいい。退院後や転居など環境の変化も理想的だ。カフェを新しく見つけたりしよう。野球選手を調べるとトレード前に成績が悪い選手はトレード後に好成績になり、またその逆も然り。現状で既に上手くいっているなら気を付けよう。再出発は意志を起こす助けになる。

現在志向バイアスすなわち衝動性は、長期的な目標の達成に対する天敵だ。やるべきことがあるなら、やりたいことと抱き合わせるようにするといい。ジムに来ればそのときだけiPodを聴けるようにするとジムに通う人は増える。あるいはこの抱き合わせを促すだけでも効果がある。誘惑を減らし目標に取り組む時間は増えるだろう。単調な作業は印をつけたり成績上位者を表彰したりとゲーミフィケーションで面白くするのも手。とはいえこれは参加したくない人にやらせると裏目に出る。

先送りもまた天敵である。誘惑が起きるのを見越して制約(コミットメント装置)を作っておくといい。目標の貯蓄額に達するまで凍結される口座や破ったら嫌いな団体に寄付金が行くようにするなど厳しい制約は特に有効。みんなの前で誓うなどの緩い制約も有効。あまりこういう方法が使われていないのは楽観的すぎる人がいるからだろう。

忘却に対策するには、直前にリマインダーを設定しよう。そして「〜になったら〜する」というような、手がかりに基づいた計画を立てよう。後で遭遇しがちで思い出すのに役に立つなら、時間や場所はなんでもいい。特徴的であるほどいい。具体的に計画することで無理のない進度で達成していき、また自分自身に誓いを立てることにもなる。込み入りすぎない計画を立てよう。

怠癖もうまく利用すれば変化の手助けになる。ブラウザのホームをSNSではなくメールにするなどデフォルトをうまく使おう。硬直的すぎない習慣を作るのも効果的だ。理想的な状況でなくても続けることでよりその習慣は長続きするだろう。成功は喜び失敗は説明できるようにするため、記録づけるといい。休みすぎないで流れを作ろう。古い習慣の上に新しい習慣を重ねるのもあり。

自分を疑うと進歩もできないし目標を設定することもできなくなってしまう。お節介な助言をすると、暗黙のうちにその人の能力を疑っていることになり、自信を失わせる。むしろ、同じ目標を持つ他の人に助言をさせることで自信をつけさせる方がいい。友人や同僚と集って助言をしあったり誰かのメンターになろう。期待は現実を左右する。掃除が健康に良いと思わされた人は実際に健康になる。野心的な目標を立て、緊急事態に備えて余白を持たせよう。そうすれば少し遅れをとっても自信を失わずに済む。失敗は成長の機会だと捉えるようにしよう。成功体験や誇りを思い出し、自分を疑うことから抜け出そう。

社会的な圧力をうまく利用しよう。大きな目標を達成したいなら良い仲間がいるといい。似ている相手からはとても影響を受ける。成績の良い仲間の行動を、自分に合うように真似よう。ただしあまりに似ていないと逆効果になる。人には仲間から賛同を得ようという傾向があるため、見られているという感覚があると投票に行くなど行動が変化する。軋轢が起きないようにするために、良い行動をすると賛辞が送られるようにしよう。不人気なものの良い行動を広めたいなら、それが流行りつつあるという情報を流そう。

自己変革は慢性病に取り組むようなもので、すぐには効果が出ない。ジムに行くのがどうしてもできないなら違うことをしてもいい。問題に適した手段を粘り強く探していこう。

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・自己啓発の本は滅多に読まないのだけど、ビジネススクールの先生なら人間のいろんな認知バイアスに取り組んで行動変容を促す科学的な方法を探してくれていてきっと再現性があるだろうということで例外にしている。まあ再現性がない場合もあるのはご愛嬌wやる気出る燃料になればいいんだよね。
・天邪鬼なので新年の誓いとかやらずに来たんだけど損してたかも〜〜〜!!!変化したいには良い方法のようだ。
・やるべきことをやりたいことと抱き合わせてやるようにするというの、実行してる!オーディオブック聴きながら走ったり、小説読みながら歩いたりして運動時間増やすの長続きするからおすすめ。ほんとは自動操縦モードになって危険なので可能ならランニングマシンでやるのがいいんだろうな…
・「これまで全ての投票行動が記録され、次の投票行動を一緒に住んでいる相手や近所にバラす」という通知が送られるという政治学の実験が紹介されていた。怖すぎだろ!でもおもろいからおっけーです。

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・キャロル・ドウェックのグロースマインドセットを褒めてるのは気になったな〜。再現に失敗してる論文いくつかあるやん。
https://doi.org/10.31235/osf.io/tsdwy
http://psychbrief.com/growth-mindset-fails/
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01973533.2020.1806845
まあ本だと再現に成功してる実験が紹介されてるんだけど。結局有効なの?どうなの?失敗は成功の糧と捉えようという話には賛同なんだけども。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31391586/
・本のまとめを紹介するの、自分の理解を深めたいからやっているのでこの本でもそれが正しいと説明されていてよかった〜😄理屈がよくわからなかったらそこは俺がよくわかってないという点なので突っ込んでもらいたかったりする(他力本願)
posted by Char-Freadman at 20:20| 北京 | Comment(0) | ぶっくれびゅー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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