2012年01月28日

データ公開と科学の加速

ネットによって知の発見はこれまでになく加速している、そんな現状を分析した本を紹介してみよう。タイトルは"Reinventing Discovery"、著者は量子コンピュータを専門にするMichael Nielsen。



科学は慈善事業じゃない。競争は激しく、週80時間労働する若い学者はザラだ。大事なデータを公開したらライバルに出し抜かれるかもしれない。論文を書き上げるという旧来の目的を持ったブログ(PolyMathなど)は成功しているけど、ウィキペディアやGenBankみたいなプロジェクトは最初は上手く始動しなかった。著者はIT技術の発展によって科学発見の過程が緩やかな革新を経験しつつあるととらえており、その利点を活かすにはどうしたらいいか考察していく。

1部では集合知の高めかたについて。バカとネットは使いよう:チェスの伝説的王者たるカスパロフと接戦に持ち込んだのは、世界中のチェスプレイヤーのチームだった。WordpressやLinuxなど有用な技術の例は、しばしば科学者たちのサークルの外からやってくる。
たとえば、innocentive.comというサイトがある;その目的は科学的知識を使って実務問題を解決することで、有用な知識を持っている人とそれを必要とする人たちとを結びつけている。ネットはまさにこの、「専門家の希少な注意を正しく向けさせる」点で優れているプロジェクトに溢れている。集合知の形成では、各人がその注意をそれぞれの得意な狭い範囲にあてることができる一方、お互いをわかり合う方法を共有していくことが求められる。市場や少人数のグループと比較すると、各人の担当分野を細分化したり、より多様な人材を確保したりする点でオンラインのネットワークは優れている。
リナックスのオープンソースプロジェクトは91年に始まった。発展するに従いプログラムは複雑になり、ついには創始者兼まとめ役のトーバルスの手を離れるに至った。その後はプログラマ一人一人が扱いうる程度に細分化された。文芸であれば全ての要素(=文や単語)を結びつける個人が必要となるけど、そうでなくばモジュール化することが重要とのこと。
MathWorksは隔年でプログラムコンテストを開き、優勝者には賞が与えられる。そこでは早さや精確さに得点が付けられ、各参加者は他人のプログラムを利用することができる。得点という明確な指標があるため、いつどこで重要な躍進があったかが瞬時にわかるのだ。ここでもまた各人の注意力がプログラムの改善に向けて正しく向けられている。またそこでは、既存の学界では許されないような、ほとんど完全コピーで一文だけ違うような小さな書き換えもアリとなる。ゆえに参加への障壁は低く、改善が目覚ましい速度で進んでいく。
アイデアが活かされる人が多いほど、集合としての出来は効率的なものになっていくことも強調されている。世界対カスパロフでは、ある参加者の独断によって特定の手が無視されることになり、それまでの善戦が脆くも崩れてしまった。

無論、限界もある。集団心理学の実験は、リーダーの選出の討論にあって(1)各人に固有の情報より皆が共有している情報に重きが置かれること(2)地位の高い人の意見が尊重されがちなこと、を明らかにした。有益な議論では「判断する理屈付けを共有していること」が必要であり、宗教や特定の選好により対話が困難となる政治問題、感性の果たす役割の大きい芸術といった分野ではこの討論という形式は向いていない。一方例えば経済学では、結論自体には賛同できなかったとしても、方法論は共有されている。オンラインが有効になるためには、数学やチェスのように方法論が統一されていることが不可欠となる。多くの場合方法論は統一されている科学にあっては、おのおのの専門知を割り振るようなオンラインシステムが生まれでてくるかもしれない。そうすれば発見の過程はより加速されるだろう。

2部では科学のネットワーク化についてみる。データベースは巨大であり、科学と社会の架け橋となるようなオンラインのツールがある。データや知識を共有したがる開かれた文化が花開くのも夢ではないかもしれない!
すでに、大規模な予算を必要とするようなデータベースは公開される傾向にある。たとえばSDSS(スローン・デジタル・スカイサーベイ)は星々に関して、Ocean Observatories Initiativeは大洋底について、Allen Brain Atlasは人間の脳についての大量のデータをアクセス可能にしている。人間が扱い切れないほど大量のデータベースがあるとき、そこで何らかのパターン認識を可能にするような特定のアルゴリズムが必要になる。著者はこれをData-Driven Intelligenceと呼ぶ。たとえば偏頭痛が鉄分と関連を持つこと、検索用語からインフルエンザの蔓延にいち早く気付くことなど。データに意味を見出すこと一般に関して人間を補佐してくれるような知能が必要とのことだ。これまで科学には簡潔さが求められてきたけど、これからは大量データを扱う統計モデルで済むようになるかもしれない。たとえば最近の機械翻訳では統計翻訳という手法が盛んになっている。
Galaxy Zooというプロジェクトではアマチュア科学者の集団が新しい銀河系を発見した。そこではSDSSのデータを利用しながら、科学の通常のプロセスのように疑問の追及と議論がなされていた。またFolditはプロテインの解析を中毒性のあるコンピュータゲーム形式にして参加者を集っている。技術や制度によって科学と社会の関係は変わりつつあるのだ。
高利率で悪名高い科学出版も挑戦を受けている。旧来は支払った人だけが論文を閲覧できていたが、近年ではarXiv(読み;アーカイブ)やPLoSやNIHのようにオープンアクセスの方針を持つものが増えてきている。
ガリレオやニュートンの時代、科学者は秘密主義で暗号のやりとりをしていた。これは学術誌の創刊によって、"publish or perish"という文化に次第に変わっていった。論文掲載に繋がらないようなネットのプロジェクトはほぼ全部失敗に終わったが、arXivやSPIRESのようにデータをシェアする技術は広く受け入れられている。引用数の多いPreprint(掲載前の論文)が業績になるのと同じく、引用数の多いデータを構築することが仕事として考えられるようになるかもしれない。データのシェアは科学の進展には貢献するが、現状では各人の得にはならないから、政府や財団への要請が必要になっている。しかし、技術の進展によってシェア自体に得が生じる日が来るかもしれない。本書は開かれた科学文化の醸成への呼びかけで締められている。

各人の持つ注意力は稀少であり、モジュールに分けたり適切に方向付けたりせねばならない。この点はネットに限らないだろうから、事業のリーダーをやっている人は一読の価値があるかな。
そんな話には飽きたという人にも、データベースの進展に関しては目新しさを感じるかも。たとえばGalaxy Zooはネットで誰にでも公開されているので、天体の知識に貢献したい!と思った方は実際に参加してみてはいかがでしょう。

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(感想)
1. なるほど既存の問題の解法を得るには有用な方法か。
・・・でも、新しい問題を思いつくには使える手かなぁ。七人の小人とかファウストとかなんでもいーけどリサーチクエスチョンくれたりしねーかナァ。。。

2. いままでの科学のありようを否定しているわけではない。中核に居るのはやっぱり理論家だったり実験屋さんだったりするけど、彼らの手助けをするアマチュア集団や人工知能が拡張するだろうというお話に解釈した。まあ物理の人が読んでも反感は買わない、かな?あんまり目新しいことは無いかもしれんけど。物理以外の人にとっては、有名どころの学術誌より、引用数自体がモノを言うというのは結構驚くことかも。

3. 本邦でいえば2chを想起した。法廷や技術的問題で閉鎖騒動がしばしば巻き起こるごとにしぶとく生き残り続けていますね。
科学を加速させろ。データシェアリングはスタンドアローンコンプレックス現象だ。情報統合社会で無数の基地外を誘発的にデータシェアリングさせるためには、勢いは生命線となる。勢いを上げろ。

4. 大好きなオタク趣味に関して記事を書かない理由は、結論が出ないからだったりする。良いテクスト分析はテクスト本体と補完関係にあって、多様な解釈が作品を面白くする。好きな作品の価値を高めるのに貢献したいとは思うのだけど、いまいちやり方がわからんのだ。

5. 経済学で方法論自体が共有されてないかもしれない範囲はこちら;
"The case for mindless economics" Faruk Gul and Wolfgang Pesendorfer,"The Foundations of Positive and Normative Economics: A Handbook" 収蔵→「心理学のデータは経済学にとって無関係」とまで断言。
"Is Behavioral Economics Doomed?"; http://www.dklevine.com/general/behavioral/doomed.htm
ちなみに意見を異にする例はこちら;
「世界一の経済学部"http://www.igmchicago.org/home"」議論になりがちなネタを集めたページ
まあ面白ければ何でも良いよね。

6. 量子コンピュータが専門な物理屋さんという著者の経歴を反映し、理論物理学者の生活描写、特に他分野を口汚く罵る様のそれ、はリアルだった!^^
社会貢献なんかくそくらえだとか、人間社会なんか分析して何が楽しいんだとか言ったり、あるいは知的貢献に対してとても潔かったり、大好きな人たちです。努力友情勝利そして血筋のジャンプ漫画を地で行く生き様。
posted by Char-Freadman at 11:41| 北京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月21日

技術進歩と雇用喪失

Erik Brynjolfsson, Andrew McAffee著、"Race Against The Machine"が面白かったので紹介してみよう。キンドル版しかないので日本のアマゾンでは買えない。

2008年から続いた米国の大不況は一応の終わりをみたが、失業率の回復には至っていない。通常の景気循環での需要の不足にその理由を求める向きや、技術革新の不足のせいと唱える説もある。この本の主張は、むしろ技術進歩によってマンパワーが不要になってきたから、景気が回復しても前ほどには雇用に繋がらないということだ。

2章では近年のデジタル技術の粋を眺める。人間のみに固有の能力と思われていたパターン認識や複雑なコミュニケーションは、機械がかなりの程度既に実現している。大量のデータ活用によりグーグルは無人運転を可能にし、世界各国の顧客対応を扱う翻訳技術やクイズ番組に解答する機械も存在する。チューリングが望んだほどには追いついてはいないものの、機械と人間とは競合するようになってきている。多目的技術(General Purpose Technology)の躍進は目を見張るものがあるのだ。かつての蒸気・内燃機関と同様、コンピュータは当該(IT)産業のみならず他の産業の生産性を改善している。

3章ではこの技術進歩が経済にもつ影響を見る。過去10年にわたりアメリカの中位所得は水準を落とす一方で一人当たりGDPは伸びている。これは技術進歩が勝者と敗者を生み出しているためで、高い技能を持つ人は技術から恩恵を受けるが、コンピュータと競合してしまう人は損をするからだという。以下の3つの観点での格差拡大が述べられる。
i. 高い能力対低い能力
技能偏向型技術進歩(SBTC, skill biased technological change)という学術用語がある。それは、高い技能をより必要とするいっぽうで低い技能を不要にするような技術進歩を意味する。たとえば工場の自動化がそれだ。過去40年の間、高卒の賃金は低下していったが、大卒の給料は著しく伸びた。(cf. Acemoglu, Autor) また、高い技能のある労働力、特にデジタル技術のそれは、技術進歩によって需要が伸びている。(cf. Autor, Katz, and Krueger) この種の進歩のキーは、組織内の決定機構やインセンティブ設計、情報の流通などの点で、会社に偏向をもたらすということだ。そのためそれまでとは全然違う労働力を必要とするようになってくる。

ii. スーパースター対その他
音楽やスポーツマンやCEOたちをみてみよう。一握りの勝者がすべてをもっていく構図となっている。デジタル技術はそんな市場を拡大する。彼らの挙動が決定的に重要になっていく。収入トップ10%内、1%内、0.1%内、0.01%でも格差は拡大しているのだ。
一番すごいものだけに支払いたいような市場でこのスーパースター現象は顕著になる。このときサービスの複製が安上がりであればあるほど、トップがより多くの利益をもっていけることになる。(cf. Sherwin Rosen, Economics of Superstar) レコード化の到来まで各地にミュージシャンがいたけど、安く売れるようになってからはヨーヨーマやレディガガのような少数の人だけがいるようになった。
コンピュータプログラムによるトレーディングみたいに、技術投資した割には、連との再配分だけに使われて真の富を生むことに繋がらないものもある。

iii. 資本対労働
生産過程では資本も労働も使われるけど、その結果の富の分配では、資本の産むものと労働の産むものとが比べられる。どちらがより多いかが交渉力を決める。技術進歩が労働の相対的な重要性を減らすなら、資本の持ち手がより多くを手に入れることになる。

4章ではこの現実にどう立ち向かうかを考察する。演算能力において人類に勝ち目はないが、機械を使うことはできる。蒸気機関が生まれた産業革命時では、技術によって人がむしろ必要にされるようになったし、チェス対戦機だって組み立てるのはチェスを知るプログラマーたちだ。重要なのは、『いかに使うか』。組織構成に革新をもたらしたり、人的投資に役立てたりとよい。
新しいビジネスモデルなら苦しむ中位層を救える。デジタル技術は個人個人が持っている特有の知識を結びつける。少数人からなるものの世界各地に顧客を持つようなビジネスを可能にしていくだろう。人的知識が組み合わせ数的に伸びれば、指数的に伸びる機械の能力に打ち克てるかもしれない。
教室の質は高まり、オンラインで学べる教科も増えている。優れた教員の授業をコピーするのも簡単だ。リーダーシップや創造性の重要性もなくならないだろう。

5章では楽観的に結論づけている。ま、なんだかんだ言っても技術って生活の改善に繋がるものだ。より多くの知的・感情的結びつきが可能になるし、市場も効率的になる。そのうち慣れるでしょう。

技術進歩による雇用喪失というテーマに沿って著名な学術文献が手際良くまとめられており、大変読みやすい。

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(感想)
1. 時間を投資して身に付けた能力がコンピュータによって価値のないものと見なされるようになるというのはやっぱり恐ろしい。(経済学は永遠に不滅です?^^;)
それ自体は事実なんだろうけど、雇用創出に至らない主原因かと聞かれると・・・うーん。アメリカ同様に技術進歩の影響を受けているはずの他国は、結構雇用創出してないかなぁなんて思ったりしなくもない。他にもデータ見たいところ。
マクロなのにオモシロかったのでこの辺の議論は追っていきたい。

2. 進路決定にあたり統計データを見るのって重要ですね。我が身を顧みたら、統計データなぞ気にせず大学進学とか結構テキトーに決めている。でも、新卒一括採用や(崩れつつもあるけど)年功序列など、自分だけでは変えられない社会の仕組みってあるわけで。これまた寒気が・・・

3. 教育に求められるモノも変わってくるかも。PCにできることとできないことの境界を把握する能力は身に付けとかないと。複数のコンピュータ言語を使いこなす小学生が当たり前になってるかな。

4. PCやタブレット型PCなどの新技術に関しては、不要な理屈をゴタゴタと並べて買い控えておくより、とりあえず使ってみるという経験則をもっといたほうがよさそうだ。人の親になる皆さん、我が子にはいろいろ新しいおもちゃを学ばせてあげてくださいね。(※予算や時間との相談の上です。)
・・・あとアンチ電子書籍の人って痛々しいよね!

5. チューリングテストに合格するような、人間と見まごうほどのデジタルなエア恋人マダー?
ま、あんま発達されてもウザくなるだけか。
不気味の谷は造形にだけ生じる現象なのか、それとも言語能力(というか人と識別不能になりつつあること一般)に生じるのか、気になるところではある。
あ、アルは好き。

(補足)
技術進歩に関して人類がどう捉えてきたか変遷の描写は先月出版されたこの邦訳が面白かった;



ただの都市伝説にあらず。併せて読むとよさげ。
posted by Char-Freadman at 04:55| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月17日

支払いタイミングのジレンマ

(1)料金支払い後に商品・サービスが届くお店
代表的には食券を買って注文するレストランをイメージしてくれるといい。
店側にとっては、お金を支払った客はさっさと出て行ってくれたほうが嬉しい。人の入りが多くなるからだ。
その顧客対応の低い質を見越して、違う店に行こうと思う人がいてもおかしくはない。

(2)商品・サービスの提供がされた後に支払いとなる店
この場合、従業員はチップ欲しさに真面目に働くだろう。
しかし食い逃げが可能だ。

ここまで書いて気付いた。
・・・強盗被害で悪名を馳せるすき家は食券非導入なんだよナァ。。。
posted by Char-Freadman at 11:30| 北京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月03日

経済学部であらまほしき制度

・ノートの売買

・ゼミの決定にマッチング制度(カップルなんぞ引き裂いてしまえ)

・OBOG会の日程を投票に任せる(&「中央値で」決定、その際「この投票を含む全投票の中央値より1日早い日」など混乱させる票は無効に)

…10,11月にOBOG会があるとか何なの。。。
posted by Char-Freadman at 00:38| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月20日

無料漫画DLの怪【解決!】

無料で漫画をDLできる(※)サイトは数多い。

http://raw1st.com/
http://www.rawmangaland.com/
http://shobo--n.info/

ちょっと眺めてみれば、これらのサイトが参照するアップロードされたファイルはたいてい同じ作品のものであることに気付く。

・組織的にやっているのではないか?
一冊の漫画を自炊するのは大変な手間なので、ヒーロー面したさに特定個人がやっているとは考えにくい。
・どうやって利益を得ているのか?
一番利益を得るのは、ファイルを無制限にDLできるような契約を結ばせることができたアップローダサイトだろう。無料DLは数分おきだったり同時に複数ダウンロードできなかったりと不便で、有料でDLする人が出てきてもおかしくはない。ひょっとしたら、これらの漫画サイトから定期的にDLするサービスがあるかもしれない。

こういった疑問が思い浮かぶけど、実際どう運営されているのだろう。電子書籍化の遅れがこういったサイトの繁栄を招いているので、さっさとどの漫画もPCで読めるようにしてほしいところ。

(※)ちなみに2010年から漫画のDLは違法です。
posted by Char-Freadman at 06:24| 北京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月19日

SNS利用法の判別

SNSの種類が増えてきた。

ジョーシキやリョーシキを疑う発言をするのが大好きなのだけど、友人は会社の同期や上司からCharと意見を一にしていると思われては困ると予想される。出世を妨げるのは本意ではない。もらう予定の上納金が減額されてしまうからだ。

そこで、相手がどのように利用しているか簡単に知る術はないものか?friendやマイミクをいちいちチェックするのは面倒でならない。

いまのところ、相手の職業で不謹慎さの程度を変えてはいるつもり…(政治家とかブンヤとか)
posted by Char-Freadman at 06:52| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月29日

手書き代行業、はじめませんか?

daikou.jpg

履歴書の手書きで学生の熱意をみたいという風潮は消えない。印刷機器業界に就職した友人の手前、キヤノンやブラザーを罵倒するには忍びない。

ならば人力だ!

エントリーシートなぞを手書きしているヒマがあったらより有意義なことをしたい人が多いだろうし、まあ1社に対して1000円までなら払っても良いと考えるかもしれない。100社受ける人もいるそうだし、そしたらなんと\10万/人!金儲けのニオイがしてきませんか。

履歴書の内容は依頼者が考えるーーもちろんオプションによりココの代行も可能だーーとして、ウェブサイトを通じるかメールで請け負うことにしよう。仕上がりの素早さが何よりも重要なため、手が回らなさそうなときは断ることもありえる。
即日仕上がりなら一社につき\2000, 翌日なら\1500,翌々日なら\1000などの価格差別をする。手渡しは基本的に大学で行うものの、一刻を争う場合は現地にする。もちろんその場合は交通費は依頼者負担だ。

読み書きができさえすればいいので、有り余る時間を持て余す小学生や中学生を雇うと安上がりで済むかも。

【考えうる影響】
1. 景気の安定
不況期のほうが学生が受ける会社は増えそうだし、この事業は景気循環に対して逆行する動きをみせそう。

2. 採用側のコスト減
寝不足でふらふらの状態で書き上げたものより、もちろん読みやすいものになろう。人事の目の疲れをとります。

3. 技能の分配
手早く書き上げるという肉体能力「以外」のことで競争が起きそう。

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少なくとも自分がB4のときはこのビジネス見たことないけど、いまはやられてるかな?情報通の方いらっしゃいましたら是非ご一報を。

画像はイメージです。
posted by Char-Freadman at 10:40| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月28日

貿易と暴力

貧富の差は何故生じるのだろう?この疑問に行き当たったとき、歴史が教えてくれることは大きい。国際貿易が果たした役割を述べるのが本書の目的となる。

Ronald Findlay, Kevin H. O'Rourke, "Power and Plenty: Trade, War, and the World Economy in the Second Millenium"



内容を一言でまとめてしまえば、「貿易パターンは、軍事的・政治的紛争の結果としてのみ理解することができる」ということ。『大量のマキシム式機関銃、シミターの刃、凶悪な流浪の騎馬民によって決められる貿易の流れによって』ここ1000年の歴史を理解しようとする。多くの歴史家は中国や欧州など特定地域からの視点に寄りかかりがちだけど、本書の特色はバランスよく世界各地を眺めていること。(ただその欠点として細部の説明が冗長になり読む楽しさは減っている。)政治が経済を形作るのであってその逆ではないという信念をもち、地政学的要因に目を向ける。また思想、信仰や制度の伝播にも焦点を当てている。そこでは、中世のムスリム世界と、中東がいかに東洋と西洋を結び付けたかについての検証がなされる。

技術革新が可能になるまで、生活水準を上げるには貿易か侵略かをせねばならなかった。チンギスハンによるパクスモンゴリカ、その帝国は西ヨーロッパから日本海に至るまでの巨大な統一市場を初めて作り上げた。その結果収入増と人口増をもたらした。そして帝国の衰亡と分裂により、ヨーロッパ人はアジアに至る別の道を探す必要に駆られるようになった。そして新大陸を発見し、アフリカとアジアの更なる探検に乗り出した。この1500年から1650年に至るまでは重商主義の時代と呼ばれる。ヨーロッパの植民政策・商業政策に対抗するためにアジアが採用した政治的・軍事的戦略について焦点を当てている。
またこの騎馬民族はヨーロッパに黒死病となって現れる病原菌を連れてきた。人口の急減は賃金の急増をもたらし、欧州とアジア間のみならず欧州の南北でも大きな差となって現れた。この点は経済史家がしばしば見落とす点だという。

工業革命も重要だ。18世紀の分析に当たり、欧州とヨーロッパ間で一般均衡論を使っていく。綿花や砂糖その他の豊富な原材料と奴隷とは、織物の輸出に利益をもたらした。植民を通じて貿易を拡大していくことで、イギリスの輸出市場は育っていった。輸送コストは低下し、海賊は減り、アジアにも浸透した。海外市場の成長は、技術進歩を利益のあるものとした。この議論は、貿易によって需給の弾力性が高まるという事実を前提にしている。
北部イングランドから始まった技術革新に現代が負うところは大きく、格差の原因ともなっている。ナポレオン戦争、パクスブリタニカを経て第一次・第二次大戦、そしてパクスアメリカナへと影響を及ぼしていった。「西洋の勃興」を、西洋以外の世界との関係を無視して制度や文化といった国内的発展のみで説明しようとするのはとんでもない間違いであるとしている。なぜイギリス/なぜヨーロッパだったかーー敵を市場から排除する英国海軍の役割が強調されている。

本書を通じて、帝国主義や紛争の結果として貿易が生まれているように著述されていく。新しい時代には新しい地勢的関係が生じ、流れが変わる。力をつけてきた現代の中国やインドへの対応に関しても教訓が得られればと期待して結んでいる。

経済史に興味のある人にオススメ。辞書代わりにどうぞw
posted by Char-Freadman at 15:38| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

災害になる貿易政策

1930年代には貿易制限が顕著に行われていた。本書はそこで何が起きていたかを分析していく。



国際金融論ではよく知られた開放経済のトリレンマというお話がある。独立した金融政策・固定為替制度・自由貿易という三つの望ましい目的のうち、二つしか同時には達成できないというものだ。デフレに陥っていた1930年代の世界経済は本来独立した金融政策で景気刺激を取れたはず。しかし金本位制(=固定為替)に固執したため、支払いバランスの必要から高い関税や輸入制限をかける羽目に陥ったとみる。

一章では1930年代初頭のヨーロッパでの保護主義の起源とその拡大をみていく。
金本位制の下でアメリカとフランスはルール破りをしていた;金の流入を不胎化していたのだ。そのため金を流出していた国はデフレ圧力を受けるようになった。しかし米仏の金流入国はインフレを回避できたため、金流出国は返済のために政策の変更を余儀なくされた。また戦債や賠償金も、第一次大戦後の不安定さの要因となった。ドイツは英仏に借りがあり、英仏はアメリカに借りがあった。このためアメリカからのカネの流れが滞れば、国際金融システム全体が悪影響を受ける状態となっていた。しかしFRBは株式市場の熱狂を抑えるため、緊縮的な金融政策を採ることにしたのだ。金本位制から離脱した国の貨幣は直ちに減価した。そのためそれに止まった国の貨幣は割高となり、輸出品は高騰し輸入品は安価になった。支払いの必要を抑えるために高い関税や数量制限が設けられる結果となった。その後は報復措置としてその他の国も同様の保護主義をとるようになっていった。悪名高いスムート・ホーレー法は特定利益集団が政治力を行使したために決まったものではなく、輸入を減らし金の流出を抑える目的でなされた。激烈なインフレを過去に経験した国は、金本位制に止まりがちだった。世界の国々は金本位制を廃止したグループ、金本位制に止まり互換性を維持したグループ、金本位制に止まり互換性を放棄し為替コントロールを行ったグループに大別できる。

二章では様々な国がこのトリレンマをどう解決していったかを分析する。
イギリスの政策担当者は、金本位制・自由貿易・均衡予算・小さな政府という「ビクトリア・コンセンサス」をもっていた。そして金本位制からの離脱は信任に関わるとみ、輸入制限に踏み切った。結局はそれを手放したものの、どこまでポンドが減価するかわからなかったため、輸出制限によって支払い問題を解決しようとしたのだ。金本位制からの離脱によりインフレを懸念したイングランド銀行は当初利子率を上げたがすぐに下げることにし、拡張的な金融政策はデフレを解消することになった。
ドイツや中欧ではトリレンマがより厳しい問題となっていた。貨幣の減価を避けるためには、貿易制限に繋がるような為替コントロールを行わざるをえなかった。財政悪化により資本がどんどん逃げていき、金準備が底を尽きかけていたのだ。賠償金は金によって固定されていたため、マルクの減価は支払いを困難にすることを意味した。またインフレの苦い記憶もあった。そこであらゆる外国為替取引を政府が規制することにし、マルクの先物取引を禁止した。ポンドの減価により負債の支払いは楽になったものの輸出はダメージを受け、支払うための外貨の獲得はしづらくなった。デフレにより他国よりも賃金と物価を下げれば貿易のバランスを改善できると期待したが、経済を悪化させるだけの結果となった。再武装の狙いから、消費財ではなく工業品が輸入されるようになっていった。また二国間協定により、外貨準備抜きで貿易をできるようにした。
フランス及び金本位制へ留まった国々は増価に苦しむこととなった。

三章ではこれらの貿易制限政策が世界貿易の崩壊にどう繋がったかを論じる。支払い問題の解決としては、輸入制限と通貨下落は同じ意味を持つ。しかし両者には違いがある、それは為替減価が近隣窮乏化政策には必ずしもならないことだ。各国が協調して金融緩和を行っているだけとなる。世界の貿易量はこの時期を通じて25%減ったが、その半分ほどがこの間違いによるものだったと見ている。金本位制から離脱した国はその後の景気回復を容易に行えたようだ。

四章は総括として1930年代の貿易政策から3つの問題に関する教訓をみる;為替と貿易政策、保護主義と重商主義、大恐慌下と同じく近年の金融危機で保護主義が行われない理由だ。2008年の経済危機は1930年代のような崩壊には結びつかなかった。外国投資が果たす役割が大きくなり、中間財が貿易に占めるシェアが上がり保護主義がやりにくくなり、WTOなど国際規約を結ぶことで各国政府は保護主義圧力に対抗できるようになってきた。どうも自由貿易の利益が理解されてきたようだ。

貿易と金融とに興味ある人におすすめ!

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この本で株が上がった経済学者;グスタフ・カッセル、ベルティル・オーリン
大暴落;ケインズ
posted by Char-Freadman at 13:15| 北京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月10日

ライトの照らす範囲

幸福研究が多くの人に嫌われる理由を挙げてみよう。

・データが主観的
・顕示選好にのっとらない
・政府の言い訳に使われるかも;経済成長しても幸せにはならないから、成長を支える制度を準備しなくても別に良いよね?みたいな。(※)

それはそのとおり。ただ、とりあえず大量のデータがあればまあ人間行動近似できるんじゃない?という立場を取ってみれば、人間の心が強いことを示してくれることがあるから結構好きなのだ。
挫折から立ち直ったり、色々なことへの感謝で前向きさを取り戻したり、赦すことでより自由になれたりと、幸福研究を通じて人間心理がかなり頑健にできていることがわかる。鬱の予防にも治療にも、ある程度の処方箋として利用することができて便利だ。

心理学は人間の心の特性を明らかにするけど、「なぜ」そうなっているのかは教えてくれない。神経科学はそれらの心の働きが体のどの部位からくるかは明らかにするけど、やはり「なぜ」かはわからない。進化論的な解釈が与えられることは多いけど、何か説明として遠いように感じる。個々人の行動が社会の中で均衡として維持されていくのを考えるには、経済学が一番向いてるんじゃないかなー。きっと使用範囲が異なるってことなのでしょう。

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(※)幸福と金儲けは必ずしもトレードオフにならないけどね。自分の事業が好きでたまらないアントレプレナーとか研究者とか。
posted by Char-Freadman at 04:27| 北京 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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